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「またなの?」
扉越しに諏里の声が返って来る。
そうだ。そうなのだ。
俺はよくドジを踏む。
と言うより不注意が多い。
今朝は「ただ寝ぼけた」に近いが、服を引っ掛けたりとか、そんな些細なバッドラックは「いつものこと」。
だから、その度に諏里を頼る。
「ちょっと待ってなさい。」
諏里も案外、姉っぽいと言うか、世話好きな方なので「面倒だから」とは、あまり言わない。
……三分近く待つと、諏里が部屋から顔出した。
出してすぐに、俺を小突いた。
「痛っ!」
「いつもノックしなさいと言っているでしょ?」
言いながら、頭を抑える俺を余所目に、ワイシャツに目を通す。
袖のボタンをしてなかったので、袖が引っかかり、少々裂けている。
「2人共早起きで良かったわね。これなら五分あれば直るわ。」
「いつも助かるぜ。」
「その代わり、私の朝食用意してね。」
「分かったよ。」
俺は、その場を後にして台所へ向かう。
そうそう、俺の名は……
「あ……!ちょっと、連!」
「あぁ?」
「私はトーストがいい!目玉焼きにライスなんて承知しないからね!」
「はいはい、お嬢様……」
「何かいったー!?」
「いい~え!!なんでもありません~!! 」
そう、俺の名は連。
大界連(おおかいれん)だ。
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