「ようこそ、少年。」

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一階へ下り台所へ行くと、俺は朝食の準備をする。働いてはいるが、今は両親はいない。夜には帰るが、殆ど顔を合わせない。 ――調理をしながら、少し説明じみた事をする。 ここは小和町。まぁ、なんて言うか寂れた町だ。取り立てて目立ったものもなく、名産品も蒟蒻と地味だ。 さっきの諏里とは幼なじみだ。何故ウチにいるかと言えば、両親が早くに他界し、親族は長らく入院中の爺さんしかいないので、ウチで預かっている。 まぁ……ウチの両親も金持ちというか呑気と言うか……。 とにかく、田舎観光で客足を地味に取る、その町の呼町高校(こまちこうこう)に俺達は通う。 まぁ、普通の田舎高校生だ。 ――……と、そろそろ準備出来たな。 後は諏里は焼きたてパンを好むから、これからトースト焼けば……。 ………――ガシャ。 「改めて、おはよう。執事(バトラー)、こんがりパンの用意を。」 ほら、グッドタイミングだ。 「了解(ヤー)。御主人(マイマスター)。」 粉末のポタージュスープをカップに溶いて、パンと一緒に持って行く。 「御苦労。」 諏里はどんなやつかって? 言わずもがな…… 「ところで、諏里さん。私はいつから執事(バトラー)に?」 「黙りなさい、バッドラック・ボーイ。なんなら、この直したての服をバターで台無しにしてもいいのよ?」 「サーセンッ!すいませんでした!出過ぎた真似でした!浅はかでした!」 「ならばよし!」 諏里はオタクだ。最近は吸血鬼が主人公のクールなマンガとか、巫女さんとか主人公のゲームにドハマリ中(らしい)だ。 こうして、慌ただしさを臭わせる朝食を終えて、学校へ向かう。
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