「ようこそ、少年。」

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「ふぅ……」 学校に着くなり、特に寄り道もなくクラスの席にて、溜め息。 「ジジ臭いわね。」 隣の席から諏里が話しかける。 「うるせー。今日は夢見が悪かったのだー」 「ほぅほぅ?見るのはいつもエロティックな夢ではないと?セイ年。」 「見るか阿呆。性の字ばかり強調すんな。」 「まぁまぁ。で?」 「あぁ、なんつぅか……」 諏里に今日の夢の事を話す。 意味深な台詞を謎の男に告げられた事を。 夢に何かを告げられるなんて、そうそうある事じゃない。 「……へぇ。そろそろこっちに、ね。お迎えの事かしらね。」 「阿呆。そりゃ、お前の爺さんだ。」 「あら、ウチの爺ちゃんは万年入院患者だけど、死神は裸足で逃げる程に元気よ?」 「まだ元気なのか?裸足で逃げるのは女性看護士さんもだろ?」 「……まぁね。」 諏里の爺さんは変わり者だ。 一体何の病かは知らないが、万年入院患者なのに元気が過ぎる。セクハラの王者だ。「“まだ”孫には手を出さない」が信条らしい。それくらい元気なスケベジジィだ。 ……まぁ、スケベはこの爺さんに至った事じゃない。 「ウォオオォ!お前ら!置いていくなんてヒドいぜ!」 こいつもだ。 雷電のラクトは復活したようだ。 「連、こいつは死神に突き出しましょう?」 「だな。」 俺と諏里は顔を見合わせて、ただ意気投合した。 「さて、アンタ後、残機いくつかしら?」 諏里の言う残機とは、要は“残り倒れて良い回数”だ。諏里のハマってるシューティングゲームの用語らしい。 「良いのかい?シュリちゃん!俺が勝ったら、その勝負パンツ、貰うぜ?」 「悪いけど、これはアンタのじゃないのよ。」 何だか、2人の間に火花が散る。 「上等だ!行くぜ!」 「地獄で閻魔様の褌でも見てきなっ!!」 何だか、ヤバそうだ! 「お、おい!お前ら!」 と、止めようしたが…… 「ジャン……!」 「ケン!!」 ジャンケンかよ!! 「ぽ……」 2人が振り下ろそうとした時だった。 ガララ、と教室の引き戸が開いた。
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