4月 入学式

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中学校の入学式。 大きな掲示板にクラスの割り振り表が張り出してあった。 7組まである中で僕は4組。 少し戸惑いながら上る階段。 クラスまでの廊下。 教室に首だけを突っ込んだ。 生徒は誰もいない。 いるのは女性が1人。 担任か。 女性は僕に気づくと、 「おはよう」 と言った。 僕は緊張とびっくりしたのが混ざって、どぎまぎしてしまった。 「おっ、おはようございますっ」 我ながら変な挨拶だ、と思い心の中で苦笑する。 「君は…中原くんだね」 制服に名札はついていない。 (まだ、もらっていない) 持ち物にも、目立つ所に名前は書いていない。 顔を覚えてくれたのか。 教師は春休みに新しい生徒の名前を覚えると、聞いたことがある。 「はい、そうです」 話す話題も尽きたと判断し、自分の席を確認した。一番後ろの席だった。 僕の担任は松山香穂といった。 僕の心はこの時から香穂に動いていた。 初日は、一時間ほど入学式をやり、その後は学級活動だった。 まずは、自己紹介。 しかし、その後も香穂は名前間違いを連発した。 僕だけ、覚えていてくれた。 嬉しかった。
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