5人が本棚に入れています
本棚に追加
中学校の入学式。
大きな掲示板にクラスの割り振り表が張り出してあった。
7組まである中で僕は4組。
少し戸惑いながら上る階段。
クラスまでの廊下。
教室に首だけを突っ込んだ。
生徒は誰もいない。
いるのは女性が1人。
担任か。
女性は僕に気づくと、
「おはよう」
と言った。
僕は緊張とびっくりしたのが混ざって、どぎまぎしてしまった。
「おっ、おはようございますっ」
我ながら変な挨拶だ、と思い心の中で苦笑する。
「君は…中原くんだね」
制服に名札はついていない。
(まだ、もらっていない)
持ち物にも、目立つ所に名前は書いていない。
顔を覚えてくれたのか。
教師は春休みに新しい生徒の名前を覚えると、聞いたことがある。
「はい、そうです」
話す話題も尽きたと判断し、自分の席を確認した。一番後ろの席だった。
僕の担任は松山香穂といった。
僕の心はこの時から香穂に動いていた。
初日は、一時間ほど入学式をやり、その後は学級活動だった。
まずは、自己紹介。
しかし、その後も香穂は名前間違いを連発した。
僕だけ、覚えていてくれた。
嬉しかった。
最初のコメントを投稿しよう!