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「泣~かした、泣~かした。ユージが泣~かした」
「何!?ユージ、女の子は泣かしちゃ駄目なんだぞ」
「……最低」
順番に、ミー、ケン、ユッキーの順に非難された。
(明らかに嘘泣きだろ。ほら、今だって笑ってるし)
手で顔を覆いながら嘘泣きしているせいか、隣にいる僕には嘘泣きとわかるが、他の3人は正面にいるためわからないらしい。
「早く謝りなよ、ユージ」
(3人からの視線が痛い……)
ここは、謝るしか切り抜けられそうにはない。
「レン、ごめんなさい」
「うん、良いよ」
嘘泣きをやめて満面の笑顔で言ってくれた。
高柳 蓮(タカヤナギ レン)。僕の家のすぐ隣に住んでいる女の子で、幼馴染み。
レンの周りにはいつも人がいて、その中心でいつも笑っていて、それにつられてみんなも笑顔になる。太陽のような子だ。
「……みんな、青だよ」
ユッキーが信号を指さしながら言った。
「それじゃあ、行こっか?」
「だな」
レンのあとに続き、僕達は肩を並べて歩き出す。
僕、加藤 勇司(カトウ ユージ)はいつまでもこの5人の仲が続くと思ってた。
あの事件が起きるまでは……。
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