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―5月の第2週目の日曜日
この日は仕事着のまま、教室に来ていた―
日曜日が仕事のときは、いつもなら1度家に戻りシャワーを浴び、軽くご飯を食べてから教室に行くのだが―
今日は忙しく、仕事が終わったのがpm6時頃―
教室はpm7時からだ―
とてもじゃないが1度、家に戻ってるヒマはない―
息を切らしながらドアを開ける―
『すみ…ません…遅くなりました…』
すると『チラッ』と一瞬みんなの目線があたしに向いた―
『も~ぅ…田野っチャン~遅いっスよぉ~』
“田野(たの)っチャン”とはあたしのことだ―
苗字が『田野上』なので、そこから命名したらしい―
あたしを“田野っチャン”と呼ぶのは、16歳の女のコ―
艶々の黒髪でツインテール…赤いフレームの眼鏡をかけている、サバサバしているけど愛らしいコだ―
彼女の名前は『藤原しほ』
みんなから『藤(フジ)ちゃん』と呼ばれている―
『ねぇ~…藤ちゃん』
『なんっスかぁ』
『あたし一応~…年上なんやけど…』
『あぁ~そうでしたね💡
すんません…忘れてまちた(笑)
でも田野っチャンあんま“年上”って感じに見えないっスもん』
そう―
自分に『自信』がないの次に悩んでいるのが…
『年相応に見えない』こと―
周りからは『贅沢な悩みだ』と言われるが…
あたしは童顔らしく『19歳前後』に見られることが多い―
なのでお酒を買うときなんかは大抵『未成年の方にはお売り出来ないんですよ…申し訳ありません』や『失礼ですが、年齢確認出来るモノをお持ちですか?』とスーパーやコンビニで言われる…
『イィじゃないっスか(^o^)あっしなんて外見16中身おっさんなんっスから~』
何だかんだ言っても、藤ちゃんは可愛い―。
先生が“パンパン”と手を叩いた―
『…では今日も素敵な作品を作っていきましょう』
あたしは思った―
アレ?…今日カードって配ったの?…
この教室では、出席者にカードを配り、出来た作品に名前と作品名を書いて貼るようになっている―
あたしはキョロキョロ周りをみた―
藤ちゃんに聞きたい所だが…席が遠い―
自由席なので何処に座っても構わないのだ―
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