思い出タクシー

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「おせーよ、ばーか」 え?! 振り向くと3年前に別れたままの彼 だけど今の彼 どうやら間に合ったみたいだ 「今、この時間に来たってことは手紙読んでくれたんだな」 彼はいう。 涙が溢れた。 「逢いたかった。なんで…なんで私に隠して逝っちゃったの?!」 彼は…3年前病気だった。 既に余命3ヶ月 私は全然知らなかった いつも自分のことだけで… 考えてあげれなかった なのに彼は… 「そんな顔すんなよ。 あの時の俺は今こうやって話すこともわかってた。 本当は手紙だって残すはずじゃなかったけど… もう一度だけ会いたくて」 ごめんなと言った彼の笑顔は変わらない 「私、居なくなったあと忘れようとした。忘れちゃいけないのに…辛かったの。何も知らなかった。知ってあげようとしなかった…最低だよね、私。自分勝手」 「お前は俺に光をくれた。死ぬの怖くなかったよ。また会えるってわかってたから。まぁちょっと忘れられてたのはショックだったけどな(笑)だけどそれもちょっと俺が仕組んだんだ」 「ならどうしてここに呼んでくれたの?」 「お前に選択肢をあたえようと思って。お前は俺と出会って良かったか?最終的に俺は結局悲しませただけだ。なら最初から出会わなければいい。もう一度お前を俺と出会った日に戻す。もちろん3年後の記憶をもったままだ。そのまま出会わなければいいなら…あの日あの場所に行かないでくれ。俺は…お前と…いや、なんでもない。よく考えろよ!じゃあな」 また居なくなっちゃう!! 「待って!」 その声は届かない… 彼に言われたことを思い出してみる。 出会わなければ良かった…のか。 周りの景色が変わる。 あの場所に行くべきか… 私は決まっている。 「お待たせ致しました」 行きと同じタクシー きっと行き先は言わなくてもわかる。 よし。 現在へ帰ろう。
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