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「……そういえば さっきの指輪どこやったかな?」
上半身を起こしてからカウチを降りてみる。 たまにあるんだな……これが。
近頃 よそ事してると大事な物を無くしてしまう。
「指輪探してるの?」
「あぁ…鎖が着いてるヤツだ。」
本棚には
……置いては無いな。
なら、
カウチの下か?
……埃すら無い。
ソファーの隙間か?
……ここにも無いな。
「あっ…もしかしてこれ?」
「あぁ~それだ…ありがとな」
指輪を受け取ると 左手の人差し指に失くさないようはめておいたほうがいいな。
うん,よしっと。
……ん?さっき 女の子がいた気がしたぞ?気のせいか??
シックな黒色レザー革のソファーには 確かに誰か座っている。なぜか正座でだ。
膝にかかっている繊細なレモン色の髪は 絶対に立てば 腰まであるな……。
結構な長髪だが、外見は16といった 少女。
…しかも オレは彼女を知ってた。
「この前の迷子ちゃんじゃないか。痛い目あったのにまた,来るなんてな。」
再びカウチに座るオレ。
「傷は2・3日で治ったよ♪」
…いやいや、そんな事聞いてません!!オレは知りたいなんて言ってないし!!!
てか、治り早ッ!!
「あ…そう。どうやって来たんだよ?」
…ツッコミそうになるがとりあえず,
適当に 相づち打っときゃいいだろ。
案外 退屈しのぎにいいかもな。
「転移魔法で来たの。
……あのね。話したいことあって…」
……上目遣いとか,凛とした揺らぎ無い瞳で 見つめられると 目線を反らしたくなるな。
反らしたら反らしたで, 合わせにくる少女。
仕方無しにここは 負けてやろうか。
……オレはしつこいのが苦手だ。
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