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それは教員達も同様で、上半期の選挙において、一・二年生の担任教諭は、学級の生徒に立候補の手順を説明することも、また、立候補用紙を配布することもせず、ただ〔三年生の各立候補者の中から適当と思われる生徒を選び一票を投じるように〕とだけ言った。
この学校では、一年生は通年、二年生は上半期、被選挙権を事実上剥奪されていた。
《生徒会役員選出規定》には、本会員のすべてが被選挙権を有し立候補する際は責任者一名を必要とする、とだけ記されており立候補の要件は責任者を一名つけることだけだった。
また《生徒会規約》の《第一章・総則》の第二条において、本会は本校の全生徒でこれを構成する、と明記されており学校に籍を置いている者は例外なく会員としての身分を保障されていた。
にも拘わらず、状況は成文律を起草した先達の想定とは真逆の態様を呈していた。
しかし、生徒は、権利が理不尽に剥奪されている現状に義憤を感じるどころか、毫末の疑念さえ抱いていなかったのだ。
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