―第一章 王都エル=ハルク―

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「それは大丈夫」 カプセルから下ろした荷物を下に置きながらファーが言った。 「ここに着いたらすぐに結界から出られないようにするアイテムをつけるんだ。だから逃げ出せない。 乗り降りする場所が決められているから、ぶつかるような事故も起こさない。 魔法生物達が自由に動けるようにしているのは、ストレスを貯めないため。 人や荷物を運ぶだけでもストレスなのに、更に拘束されたら余計ストレスが溜まって仕事に支障が出るからね。 それを可能にしてるのが操っている彼ら『操師』達だよ」 「へぇ~」 僕は操っている人達を見た。 杖を大きく振り回していて、見ている限りでは難しそうで、やりたいとは思わないけど、表情はものすごく楽しそうで、みんな笑顔だ。 「みんな笑顔だけど、案外操るのって簡単なの?」 「いやいやいやいや! これは魔術師と同じで素質が必要でね。光の操縁を維持するために、魔力がある程度あって、更に獣に好かれないといけない。 条件だけを見たら、魔術師より難しいんだから!」 やっぱり難しいのか。 そんな仕事を笑顔でこなせる操師達は凄いんだな。 この仕事が天職だったんだろう。 そういう仕事につけた彼らが少し羨ましくなった。
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