―第一章 王都エル=ハルク―

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と、ファーと話していたら、背後から殺気を感じた。 振り返ると、カプセルから降りたベルが息を軽く切らせながら僕を睨んでいた。 足元に転がっているのはタリ。 息を切らせているのは、一人でタリを降ろしたからだとすぐに理解した。 そして何故睨まれているのかも。 「手伝わなくてゴメンっ!」 僕はベルに頭を下げる。 とりあえず、こういう時は自分の非を認めて謝るに限る。 ベルが不機嫌になると、ちょっと面倒くさい。 「そう思ってるならタリを運んで。あと荷物も。あっちだって」 もう手遅れだったようだ。 ファーはにっこりと笑って僕の肩をポンポンと叩いた。 笑顔に同情と少しの悪意を感じたけど、スルーすることにする。 不機嫌なベルが指差した先には荷馬車が。 僕は何往復もして、言われるがままに荷物とタリを運んだ。
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