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全て荷馬車に積み終えると、ファーが御者に合図する。
御者は手綱を操り、広場の出口へと向かう。
「もう少し見ていたかったな。初めて来たんだし」
「観光じゃないんだから」
ベルが溜息混じりに言う。
「そうだよ。それにここは見るものなんて何もないよ。
広場にある建物は、全て操師の住居だから。あとは生活に必要な最低限のものが置いてある店と、魔法生物舎だけ」
ファーもベルに同意する。
その魔法生物舎が気になったけど、多分牛舎とか豚舎とそんなに変わらないんだろう。
多分。
馬車は橋に差し掛かる。
幅広い橋は王都へ繋がる道だと言うのに、シンプルな作りだ。
装飾は何一つ無く、石で出来たアーチ橋。
それを魔法でより強固に、丈夫に、風化しづらくしているから、何百年経った今でも綺麗なものだ。
その先に聳え立つ巨大な門。
まだ離れているというのに、その巨大さには目を奪われる。
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