―第一章 王都エル=ハルク―

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男は手に持った機械のようなものをこちらに向ける。 「サッサと渡しやがれ。ソイツは俺を馬鹿にしやがった。プライドも努力も全て馬鹿にしやがったんだよ! 許さねぇ……だからこれを手に入れたんだ。これで撃ち殺してやるっ……!」 「逆恨みもいい加減にしなさいよ! 私は本当のことを言っただけじゃない! アンタの実力じゃ騎士にはなれないわ! だから田舎に帰りなさい! あんな剣捌きじゃ、子供にだって負けるわよ! お父様やお兄様の剣術を見てきた私が言うんだから、間違いないのよ!」 「ル、ルシア様っ……」 男の子が頭を抱える。 どうやらあの男は騎士を目指していたらしい。 それで王都に来たけど、彼女に言われ、ムカついたと。 「だから貴方は門前払いだったでしょう! 剣を捨ててそんなものに頼るような奴が騎士なんてなれるわけがないのよ! 理解なさい! この……愚か者!」 「うるせぇ!」 男がパァンッ! という乾いた音と共に叫んだ。 黒いものから白い煙が立ち上る。 どうやら、音を出したのはアレか。 「確かに俺は田舎者だよ! だからって、騎士なれないのはおかしいだろぉ!? ずっと地道に剣を振ってきたんだ! そしてようやく王都に入れたのに、実力も見ずに門前払いだと? ふざけんじゃねぇ!」 男はまたこっちへ黒いものを向けた。
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