―第一章 王都エル=ハルク―

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「剣も持たねぇガキが、何がわかるってんだ! 家族を養うために、守りたいがために王都に来たのに、てめぇが好き勝手いってんじゃねぇぞ!」 また乾いた音がした。 僕は剣を抜き、相手の攻撃を防ぐ。 足元に落ちたのは鉛の弾。 あれはこの弾を打ち出す装置らしい。 予想通り、直線にしか飛ばせないようだから、軌道を読んで防ぐことは出来た。 「テメェも剣士なのか!? ならソイツをよこしやがれ! そんな奴を守ったところで、テメェも全てをズタズタにされるだけだぞ!?」 「私は見境無く言うわけじゃ……」 また乾いた音がして、僕は彼女の顔の前に剣を出した。 また弾を防ぐ。 男は僕にも苛立ちを覚え初めていることが、手にとるようにわかる。 「お前も俺を馬鹿にする気か……」 「馬鹿にする気は全くないよ。聞いている限り、彼女の言い方も悪いと思うし」 「なら……」 「ただ」 僕は男の言葉を遮る。 一度後ろにいる女の子を見てから、また男を見た。
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