―第一章 王都エル=ハルク―

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「だからって恨んで殺そうとするのは間違ってる。騎士を目指していたなら、貴方だってわかっているはずだ。 剣は人を殺めるためにあるんじゃない、守るためにあるんだと。 そう教えられるはずだし、貴方は家族を守りたいと思っていたんだから」 「うるせぇ……」 「騎士には一握りしかなれない。それだけの努力はやはり必要なんだ。 貴方が門前払いされたなら、また努力するべきだった。そして何度でも目指すべきだった。 それをしなかった時点で、彼女の言葉は現実になってしまったんだよ」 「うるせぇうるせぇうるせぇ……」 「まだ騎士になりたいと思うならこんなことは止めてよ。 止めないなら……僕が止める」 「ガキが説教なんざしてんじゃねぇ! 俺を……馬鹿にすんなぁぁぁあああ!!」 僕は足元に魔力を送り、地を蹴る。 剣にも魔力を送り、高熱を帯びさせる。 そして男が弾を発射させる前に、それを切り裂いた。 「なっ……!?」 男が驚いている間に腹部に思いっきり膝を入れる。 男は呻き声をあげ、地面にうずくまった。 飲んだ酒を戻し、ゲホゲホとむせかえっている。 ファーが男に近付き、そばの石畳をそっと触れて呪文を唱えた。 蔦が石畳の隙間から伸び、男を縛りあげる。
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