―第一章 王都エル=ハルク―

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蔦を地面から切り離し、僕は剣をしまった。 「この人どうするの?」 男が動けない状態なのを確認しているファーに尋ねる。 「王に報告かなぁ。私達が裁いても問題はないけど、ここは王都だし。ついでに連れていけばいいでしょ」 「わかった」 僕は頷き、ベルに駆け寄る。 「さ、行こう。時間食っちゃったし」 「ホントよ。いつも厄介事に巻き込まれて……」 「自分の意思じゃないんだから文句言われても」 「じゃあその体質なんとかしたら?」 「なんとかできるならとっくにしてるよ」 ぶつぶつ言うベルの文句を適当に返しつつ、ファーのところに行こうとしたら呼び止められた。 「ちょっと待ちなさい!」 僕は溜息をつき、後ろを振り返る。 女の子が腰に手を当て、偉そうに仁王立ちしている。 「貴方強いのね! 何あれ、瞬間移動!? ただの剣士じゃないのね! 気に入ったわ!」 「気に入られても……僕は用事があるんでこれで……」 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」 立ち去ろうとすると、彼女が僕の腕に抱きついてきた。
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