―第一章 王都エル=ハルク―

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父様のことを僕はあまり知らない。 普段は城にいなかったし、居る時間も短かった。 ただ、騎士として王に仕え、護っているんだとしか。 貴族とも交流がある仕事なのか。 「父様を知ってるの……ですか?」 父様を呼び捨てにするくらいだ、きっと貴族の中でも身分が相当高いか、親しいのだろう。 王に仕える騎士は身分が上流貴族並みに高い。 「勿論! エリアスは騎士として優秀だもの。でもまさかエリアスの息子とは……面白い縁ね。お父様も驚くわ」 彼女は楽しそうに話した。 「あ、敬語はいいわ。助けられたんだもの。あと呼び捨てにしても構わないわよ。特別に、ね。 私のことはルシア、って呼んでちょうだい」 ルシアは手を差し出す。 僕は躊躇ったが、彼女と握手をした。 ルシアはにっこりと笑った。
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