―第二章 反転結界陣―

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「ここが私の家。ようこそ、王都の中心に聳えるエル=ハルク城へ!」 馬車から降り、王城を背に、両手を広げてみせるルシア。 「ようこそ、じゃないだろう、ルシア」 「あいたっ!」 城から歩み出てきた青年が、ルシアの頭に拳骨を落とす。 「クロムウェル様!」 カフカが青年に駆け寄った。 「二人共、あれほど勝手に城から出るなと何度言えばわかるんだ? メイド達が探し回っていたし、父上が心配して仕事が手につかない状態だったんだぞ?」 「だってお兄様……」 「だってじゃないだろう」 唇を尖らせたルシアと、ペコペコと謝りながら頭を下げ続けるカフカ。 その二人を叱りつけている青年は、会話から察するにルシアの兄。 この国の王子、クロムウェル王子だ。 ルシアと同じ栗色の髪を後ろで纏めている。 彼女よりも鋭い目、高い鼻。 けれど彼女と同じくらい白い肌。 背が高く、服の上からでもわかる適度に引き締まった体つき。 俗にいうイケメンってやつか。 天は二物を与えないと言うけど、そんなものは嘘っぱちだろ。 ちょっと心の中で神に対して文句を言っていると、見覚えのある人物がこちらへ近付いてきていた。
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