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「君達遅いよ。寄り道なんてしてきて。時間がないのは知ってるだろう?」
「シグマさん!」
「やぁ、フェイア。三日ぶりだね」
いつもの笑顔を浮かべながら、シグマが早速文句を言ってきた。
「君達は事の重大さをもっとちゃんと把握してもらわないと」
「こんなに遅くなる予定じゃなかったんだ。ちょっとトラブルがね」
ファーがシグマに簡単に説明する。
シグマは隣で説教されている二人を眺め、首を左右に振った。
「王女様はやんちゃで困る。脱走はいつものことなんですが、事件に巻き込まれていたとは。
助けていたなら仕方ありませんね」
「僕からも礼を言う、有難う」
説教を終えた王子が僕らに頭を下げた。
「妹が迷惑をかけて申し訳ない。だが、助けてくれて感謝している。本当に有難う。
ほら、二人も」
王子はルシアの頭を押して下げさせる。
ルシアはその手を振り払う。
「わかったから! いちいち押さえないでよ、お兄様!」
「全く……困った妹だ」
「フーンだっ」
しっかりした兄に比べて、妹は少し……いや、だいぶおてんばなようだ。
兄がしっかりしているから、おてんばになるのか。
どちらにしろ、一番大変なのは周りの人なのだろう。
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