―第二章 反転結界陣―

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タリは猿ぐつわを外すと、深呼吸をしてから僕を睨んだ。 「こんなところに連れてきて何のつもりだよ! というかベルも何をしてるんだ! あんな魔術師共と一緒にいて、お前どうかしちまったんじゃねぇのか!? お前もベルが認めた奴だからと思ってたら、やっぱりクソ共と一緒だったのかよ! ふざけんな、離せ、俺を離しやがれ!」 「あー……うるさい」 ベルはタリのロープを解く手を止め、僕の剣を抜いて馬乗りになり、首に切っ先を当てた。 「いい加減黙んなさい。アンタ男でしょ。ちゃんと付いてんだったら口を閉じて大人しく手伝いなさい。 じゃないとアンタが惚れてたあの人、死ぬことになるかもしれないんだから。 そしてアンタも今、私の手で死ぬわよ?」 「冗談……だよな、ベル?」 「どう思うかはアンタの態度次第」 切っ先が首に刺さり、鮮血が滴る。 タリはベルをじっと見つめた。 僕もベルを見つめた。 僕が思うに、ベルは本気な気がする。 タリもそう思ったのか、生唾を飲み込み、口を閉じた。 「理由は会った時に説明したものね。手伝ってくれるかしら?」 ベルはにこりと笑う。 もちろん、これは脅しだ。 「――わかったよ」 タリはついに折れた。
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