―第二章 反転結界陣―

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結界の装置を中心に、三角形に描かれた魔法陣。 シグマが呪文を唱えだすと同時に、青白く輝き始める。 今まで放出されていた魔法は消え、王都を護る結界も消え去った。 こんな無防備な状態で大丈夫かと心配になったけど、僕が心配するようなことなら、シグマはとっくに手を打っているに違いないだろう。 心配なら早く反転結界を発動させればいいんだし。 僕は自分のやるべきことに集中しなければ。 ベルは目を閉じ、小さく口を動かしている。 タリは周りに人がいるかのように、身振り手振りをしながら精霊に話しかけている。 シグマはただ黙々と、今まで聞いたことのない言葉の呪文を唱えている。 「フェイア」 ファーが僕の名を呼んだ。 僕は魔力の流れを安定させなきゃいけないんだっけ……。 装置に集中しろといわれても、魔力の流れなんて見えるものじゃないだろうに。 ……つべこべ言っててもダメだし、なんとかやってみるか。 僕は装置を凝視した。 装置のほうに手を向け、目を閉じて魔力の流れを感じ取ってみる。 ……けど全くわからない。 集中集中……。 やっぱりわからない。 薄く目を開け、みんなの様子を伺ってみる。 みんなさっきとなんら変わらないが、魔法陣の光は強まっていた。
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