―第二章 反転結界陣―

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「宿りし全ての精霊達よ、汝らの力を一つに纏め、我らが地を守護する結界と成せ。 紅蓮の炎で敵を焼き、清廉なる水で傷を癒し、堅甲なる土で護りを固め、深緑の樹で其れらを繋ぎ、烈風の風で災厄を吹き飛ばせ」 魔方陣が七色に輝き、シグマの周りに魔力が集まっていく。 「鉄壁なる守護の力よ、此処に発現せよ」 機械が目も眩むような光を放つ。 耳障りな高音が部屋に響き、僕は耳を塞ぐ。 その音は大きくなっていき、光が突然消えると同時に音も消えた。 目を開けると、ただシグマが上を見たまま立っているだけ。 僕も見上げてみるが、特に変わったところはない。 「結界は?」 僕は尋ねる。 「無事発動しましたよ。結界の二重発動で、これが耐えきれるか少し不安でしたが……成功したので安心ですね」 「ちょっと待て……」 「なんですか、ファー」 荒々しい足音を立てながら、ファーはシグマに近付く。 なんとなく、黒いオーラが漂っている気がした。 「今、耐えきれるか不安って言った……?」 「えぇ。言いましたが?」 「もし、耐えきれなかったら、どうなっていたんだ……?」 「そりゃあ反転結界は消滅しますし、守護結界も無くなり王都は無防備に、あとは増幅装置が爆発して、私達みんな木っ端微塵になる、くらいですかねぇ?」 シグマはなんてことでもないように笑顔で言い放つ。 特にみんな木っ端微塵て部分はすごくいい笑顔で。
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