―第二章 反転結界陣―

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「ふっ……」 ファーの手は強く握りしめられ、プルプルと震えている。 「ふ?」 シグマは首を傾げる。 「ふっ……ざけんなぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁああぁ!」 ファーの鋭いアッパーがシグマの顎にヒット! ……はせず、虚しく空を切った。 シグマはファーの攻撃を華麗に避け、呆れた表情で見ていた。 「昔と変わらないですねぇ。怒るとすぐ手を出すところは。 何も無かったんですから、怒る必要ないじゃないですか」 わざとらしく溜め息をつく。 「耐えきれなかったらとは言いましたが、耐えきれないと思うようなことはまずしませんよ。 耐えきれると思えたからこそ、私はやったんですから」 「そうだとしても! 絶対じゃなかったわけでしょ!? そんなことをやらせたわけ!? 確率的にはどの程度だったんだよ!」 「7割くらいですかね」 「なっ…!? 低いわボケぇぇぇえぇ!」 ファーの右ストレートもシグマは避ける。 「やるには十分だと思うんですけどねぇ」 「私はいいの! 私だけなら! ただ、この子達がいる中でその確率は許さない! この子達は未来を担うのよ!? 才能溢れる子達なのよ!? タリさんなんてもともと無関係で、協力してくれただけな人なのよ!? なのにアンタはっ……!」 ファーはまた拳を強く握る。
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