―第二章 反転結界陣―

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「もし何かあった時は私が守りますよ。ちゃんとね」 それに、と反論しようとするファーの言葉を遮るようにシグマは言う。 「ファー、君なら彼らを守れるでしょう? 万が一があってもその力があるから、君を信じているから、今回は決断できたんですよ?」 シグマが優しく微笑んだ。 ファーは笑いかけられて驚いたのか、何故か俯く。 「君が居たからこの賭けに出られたんです。もっと自分の力に自信を持っていいんですよ。もう、傷付けるだけの力じゃないんですから」 ファーの頭をポンポンと、子どもをあやすように撫で、シグマはファーの横を通り過ぎた。 ファーは俯いたまま撫でられたところを自分で触る。 ここからじゃファーの表情が見えないから、どんなことを思っているのか、僕にはわからない。 けど、二人のやりとりでファーが僕達を大事にしていることと、シグマがファーを信じていることがすごく伝わってきた気がした。 「さて、仕事も終えましたし、王へご報告へと参りましょうかね」 そう言って、シグマは扉を開けようと手を伸ばす。 「子ども扱いするなぁぁぁ!」 後ろからファーが真っ赤な顔で叫び、シグマ向かって走り出す。 そして綺麗な飛び蹴りをシグマの背に食らわせた。
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