―第二章 反転結界陣―

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ドアはすでに開いていて、シグマは部屋の外へと吹き飛ばされる。 あの飛ばされ方から見て、蹴りに威力を増幅する魔法がかけてあったんだろう。 シグマは突っ伏したまま動かない。 大丈夫だろうか。 「散々避けられたからね。ようやく当てられたよ」 ファーはすごく満足げな表情をしている。 「後ろからとか……卑怯ですよ……」 シグマは蹴られた背中をおさえながら、ゆっくり起き上がった。 「私じゃなかったら骨何本かイってる威力でしたけど……?」 「何本かイってしまえばよかったのに。無駄に丈夫な体ですこと」 「酷い弟子ですね……」 「貴方に似たんでしょう。残念ながら」 苦笑するシグマに冷たく言い放つファー。 仲が良いんだか悪いんだかよくわからない。 ーーいや、きっと付き合いが長いから、こういうやりとりが出来るんだ。 お互い気を遣わなくてもいい、ありのままの自分でいい、そういう関係だから。 そう思ったら少し羨ましくなったし、僕もファーとそういう師弟になれたらいいとも思ってしまった。 「さてさて、戯れもこの辺にして行きましょうか。王がお待ちですよ」 シグマはそう言って、来た通路を戻り始めた。
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