―第二章 反転結界陣―

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通ってきた道を戻り、外へ出る。 空を見ると、虹色に揺らめく膜がわかる。 青空なのだが、虹色の膜がかかっているせいで、濁った色の空になっている。 黒い雲に覆われた空も嫌だが、この空は空でなんだか気持ちが悪い。 「不気味な空ね」 ベルがぼそりと呟く。 「澄んだ空はしばらく見られないのね」 「早く、あの黒い雲をどうにかしよう」 「私達でどうにかできるなら、ね」 ベルの言葉には僕達でどうにかできるなら、とっくにどうにかしてるわよ、というような意味が含まれている気がした。 「ほら、君達早く。王様を待たせる気かい? いい度胸だけどオススメしませんよ」 「い、今行きます!」 僕はベルの手を引く。 「ちぇすとぉぉぉ!」 が、その手はタリによって離れた。 「気安くベルに触れるなぁぁぐへぁ!」 「ウザい」 「ベルぅぅぅへぶあ!」 「仲良いのはいいのだけれど、急いでくださいよ、ベル、タリさん」 「ファーさん、勘違いしないでください」 ベルはタリを容赦無く一蹴してからファーの元へと駆けていった。
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