―第二章 反転結界陣―

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広く複雑な廊下を迷わず進むシグマの後ろを全員でついていく。 城の内部は敵から攻められても簡単に王のもとに辿り着かないように、ということを考えた設計だと父様から聞いてはいたけど、右や左に曲がりすぎてもと来た道が僕にはわからなくなっていた。 廊下を進んでいると、何度も警護の兵士とすれ違う。 すれ違う兵士はシグマを見ると、足を肩幅に開き、剣を突き立てる。 剣士がとる簡易の敬礼のポーズだ。 僕より立場も身分も高い剣士達に敬礼のポーズをとられるのは、すごく悪い気分になった。 本来なら僕が敬礼をする立場なのだから。 いつか剣士として、この廊下を通り、叙任の儀を受けるのが目標だったのに、現実は剣士ではなく魔術師として、この廊下を通ることになるなんて。 未来なんて全く予想がつかず、思い通りにいかないのだと思い知る。 父様や兄様に今日のことを話したら、どれくらい驚くだろう。 魔術師として王と謁見しただなんて聞いて、どんな反応をするか……全然わからないよ。 そうこう考えているうちに、ある扉の前で立ち止まる。
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