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周りと変わらない扉の前だが兵士が両脇に立ち、その扉を守っている。
敬礼の姿勢でジッと僕達を見ていて、なんだか品定めされているような気がした。
「ここが謁見の間です」
シグマが説明する。
「これから国王に会うわけですが、国王と言ってもただの権力を持ったオジサンですし、親バカで子供自慢したがりな人なだけですから、気負わず楽にしてていいですよ」
シグマはそう言うが、シグマ以外は緊張しているのが丸わかりだ。
もちろん、僕も例外じゃない。
というか、権力持ったただのオジサンとか……それって暴言じゃないのか?
兵士がいる前でそんなことを言って、罰かなんか与えられないか心配になる。
チラリと兵士達を窺うが、特に反応は示していない。
いや、微かに震えている気がする。
もしかして、笑ってる?
いやいや、まさか。
気のせいだと思うことにする。
「さて、長く待たせては悪いですからいきますか」
僕はシグマの言葉を聞いてゴクリと生唾を飲み込む。
王との謁見……!
手が緊張で汗ばむのがわかる。
両脇の兵士は敬礼を解き、扉を押し開けた。
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