ー第三章 王と王子と王女と宝とー

2/11
前へ
/60ページ
次へ
ギギギ、と軋んだ音をたてて扉が開かれた。 細やかな装飾が施された柱が扉の両脇から奥へと整然と並び、真紅の絨毯が玉座までの道を作る。 柱の奥、両壁にそって兵士が何人も等間隔て立っていて、警備の厳重さを物語る。 そして部屋の一番奥……数段の階段がついた一つ高くなっている場所に2つ椅子が並んで置かれている。 揃いの金の装飾が施された豪華絢爛な玉座。 その片方、僕らから見て左の椅子にその方は座っていた。 「何突っ立っているんですか、皆さん。行きますよ」 シグマは1人でさっさと行ってしまう。 僕らも戸惑いながら、シグマの後ろを付いていく。 上段の前に来たところでシグマは膝をつき、頭を下げる。 それを見て僕達も同じ動作をした。 「反転結界陣、無事発動しました。闇の力の進行を食い止めていることも確認しましたので、しばらくは平気かと」 「そうか、御苦労。皆頭を上げて良いぞ」 僕は緊張しながら頭を上げて、視線を壇上の王へと向けた。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!

151人が本棚に入れています
本棚に追加