ー第三章 王と王子と王女と宝とー

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ようやくルシアが離れてくれた。 僕は小さく安堵の溜め息をつく。 それから話の続きをと思い、国王のほうをみると、なんだかものすごい威圧感を感じた。 「あ、あの、先程の話なのですが……」 僕は話を切り出すが、王はなんだかブツブツと呟いている。 ハッキリ言って恐い。 そういえばルシアのことを呼び捨てで呼んでしまったし、ちゃんとした言葉遣いで話さなかった。 侮辱罪的な何かで殺されてしまうんじゃないだろうか、とドキドキしていたら、シグマが王に近付き、頭を思いっきり殴った。 ゴン、と鈍い音がした。 「ちょっ……シグマさん!?」 「いいんですよ、フェイア。こいつはいつもいつもこんなんですから」 シグマは王の頭をわしゃわしゃする。 僕は目の前で起こっていることがよくわからないでいる。 周りをみると、ベルやタリも動揺しているみたいだった。 「いい加減子離れしたらどうですか? 可愛い子には旅をさせろって諺しりません? 知らないですよね、そうでした。 こっちではなんでしたっけ? 忘れちゃいましたが、今のように過保護にしていたらルシアーナ様も成長しませんし、恋も何もできないですよ?」 「恋なんてしなくていいんだ! 可愛い俺のルシアーナが他の男のところへ行くなんて俺は許さん! もし浮気されたりしたらどうするんだ! ルシアーナは可愛いから浮気などまずされないだろうが、もしされたとしたらルシアーナが傷付いて泣いてしまうじゃないか! ルシアーナに涙なんて似合わん! そんな思いをさせるくらいならずっと俺のそばに置い」 「あぁもう煩いですね」 また殴った! ガンという音が響いた。 「ルシアーナ様も18ですよ? 好きな人の一人や二人できますから。もうお父さんと結婚するー、の歳は過ぎてますし、今の年齢ならお父さんマジウザい、くらい言われるんですよ。わかります? というかお父さんと結婚するーさえ言われてないくせに、無駄に束縛するんじゃありませんよ。 束縛していると親の有難みも大切さも何もわからない子になりますよ。それはルシアーナ様のためになりますかどうですか?うん?」 シグマの怒涛の説教がようやく一息ついた。
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