ー第三章 王と王子と王女と宝とー

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一気に喋っていたから僕はよくわからなかったが……王は理解したんだろうか? 「ルシアーナ様が本当に大切ならば、少し見守ることも大事ですよ」 「わかってはいるがっ……寂しいじゃないかぁあぁぁぁぁぁ!」 「それはルシアーナ様も同じですから。そこを汲み取ってあげるのも父の役目ですよ」 「シグマぁあぁあぁぁ……」 「いつまで経っても子どもですねぇ」 シグマが子どもをあやすように王をなだめている……。 どういう状態なんだ、これ。 「シグマさん? あの、貴方は王に仕えているんですよね?」 ファーもつい敬語で尋ねてしまっている。 「えぇ」 「立場は王より下、なんですよね?」 「えぇ。王直属の魔術師ですから」 「でもそんな風な感じですいいんです?」 「えぇ。私は彼が生まれた時から知ってますからねぇ。もう家族みたいに扱ってもらってますよ」 シグマはさも当たり前のように言うが、おかしいところがあった。 「生まれた時からって!?」 僕とベルとタリの3人は声を合わせて言っていた。
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