ー第三章 王と王子と王女と宝とー

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シグマと王とを僕は見比べる。 どう見てもシグマのほうが若い。 シグマはまだ30くらい。 だからファーと師弟って聞いた時もびっくりしたんだった。 前は聞いてはいけない気がしたから聞かなかったけど……。 「もし差し支えがなければ、シグマさんの年齢、聞いていいですかっ……?」 シグマは僕を見る。 「気になります?」 「すごく」 「そんなに?」 「嫌ならいいんですが……」 「嫌ではないんだけど……まぁ隠すようなことでもないから、いいですかねぇ」 シグマはボリボリと頭を掻いた。 「何歳かは私も今じゃわかりませんね。300越えたあたりからどうでもよくなりました。だから細かくはわからないですが、年表を見た限りだと1,600歳オーバーくらいですかねぇ」 へらっと答えるが、予想以上の答えが返ってきて、僕たちは呆然とした。 「待って待って、王都ができたのって350年くらい前だよね?」 ファーが自分のこめかみを指でトントンと叩きながら尋ねる。 「そうだね。何が言いたいかなんとなくわかるから答えてしまうと、初代エル=ハルクは私の友人だった。だから王都が出来たときから私は代々王に仕えているんですよ」 「だから王直属、なんですね」 ベルが納得したように呟く。 「そう。私は王直属であって、国には仕えていない。フロージアと立場は違うからそこは間違えないように」 「でも1,600年てことは、それより前なわけで……」 これは僕だ。 「うん。私がきた頃は、まだこの大陸は自然に溢れ、精霊も人を愛していた。そう、魔術師なんていなくて、みんな精霊が視えていたドルイドの時代でしたねぇ」 「ドルイドの、時代……」 タリが言葉を紡ぐように、独白する。
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