ー第三章 王と王子と王女と宝とー

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ドルイドの時代……。 人間が精霊と共存していた時代、か。 そんな昔から生きているだなんて……。 「シグマさん、貴方は何者なんですか?」 ベルがみんなが思っていたことを、シグマに問いかける。 「人間ですよ。ただ、私の時間と周りの時間の速度が合ってないだけだと思っていますが」 「ヴァンパイアのように長寿というわけではないということ?」 「えぇ。私は至って普通の人間なんです。ここに来てからはチートな体になりましたけどね」 シグマはわざとらしく肩を竦めてみせる。 チートな体になったって……どういうことだ? まるで後天的なもののように聞こえるんだけど、僕が深く考えすぎなだけだろうか? と、シグマが手を二度叩く。 「はい、これは置いておくとしまして。今は私の身の上話をする時間じゃありませんからねぇ」 そう言いながら王へと目線を向ける。 王は話をしている間、黙って腕を組んだまま立っていた。
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