ー第三章 王と王子と王女と宝とー

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シグマの話が強烈すぎて、王の存在を忘れてたなんて言えない……。 というか、王の御前だということさえ忘れていた……。 これは処罰されて当たり前なことなのだけど、王はというと、軽く溜息をついただけだった。 「お前の話はいつ聞いても信じられん話だな……まぁいい、話を戻そう。 フェイア・ウィルヘルム」 「は、はい!」 「この度は娘のルシアーナを助けてくれて感謝している。それにルシアーナが認めるほどの剣術の腕があるようだな。なのでその力に相応しい称号を与えようと思っている」 心臓がドクンと大きく脈打つ。 剣士としては僕はまだ下級なわけで。 剣士としての称号が昇格……そうでなくても王直々に与えられるというだけで、すごく名誉なことなわけで……。 嬉しい、嬉しいけど……。 「申し訳ありませんが、あの場の僕は剣技のみでルシア……ルシアーナ様を助けたわけではありません」 僕は片膝を付き、首を垂れる。 「と、いうと?」 王の声が少し低くなる。 「確かに僕は剣士です。ですが……魔術師でもあります。その称号はマスター。あの場で僕は魔法を行使し、ルシアーナ様を助けました。 純粋な剣術ではないのです。なので相応しい称号など、戴くわけには参りません」 そう、あれは魔法を使っている。 だから、僕には称号をもらう資格なんて、ない。 魔法がなければ僕は下級剣士並なのだから。 自分の剣術の腕の無さに憤りを感じていると、王は大きな声で笑った。
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