ー第三章 王と王子と王女と宝とー

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「なんだ、そんなことか」 僕は顔をあげ、王を見る。 王に驚いている様子はない。 僕の発言を笑い飛ばしたのか。 「魔術師だとはな。確かに風貌はそれに近い。だが剣術も使うのであろう? ならば我が娘の目に間違いはないだろう。 ルシアーナは強者達の剣技を間近で見てきたからか、剣を使う者の力を見て測るのが得意でな。そのルシアーナが私に口添えしたのだ。間違いはあるまい」 王はルシアの目と言葉をとても信用しているのか。 僕はルシアをチラリと見る。 ルシアはどこか誇らしげだ。 「それに、過去にも魔法を使う剣士はいるのだよ。数えるほどでしかないが。 さて、フェイア・ウィルヘルム」 「はいっ」 僕はまた首を垂れる。 王は剣を抜き、僕の肩に刀身をあてる。 「汝は上級剣士へと昇格させる。汝の魔と知、力と剣を、法と秩序、正しき義の名の下に振るい給え」 剣が肩から離れ、王の持つ鞘へとしまわれる。 僕は剣士として、兄様と同じところへとついに到達したんだ……。 嬉しくて、手が震える。 現実じゃないんじゃないかと疑ってしまうが、剣が肩に乗せられた時、ひんやりとした温度を感じたのだから、これは現実なのだ。 「有難う、ございますっ……」 声までも震えてしまっている。 絞り出すようにしか出なかった声。 僕の背中をファーがぽんぽんと、良かったねというかのように、優しく叩いた。
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