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『へぇ、なかなかやるじゃないですか』
藍月皐、威村が推薦した者。
あれだけの大人数に臆することなく立ち向かう姿勢は合格点だ。
『へー、新人スゲー!なぁ!尊(ミコト)!』
『大声出さなくても聞こえてますよ、瑶太(ヨウタ)。』
声のトーンからして瑶太がすぐ後ろではしゃいでいるのは見なくても明らかだ。
『あーあ、オレが案内役すれば良かったなー。そーすれば近くで見れたのに』
瑶太が私の前に回り込んで訴えた。
『君の能力じゃ、こっそり観察なんて出来ないでしょう?』
だよなー、と残念そうに彼は肩をすくめた。
…ホントの理由は瑶太がうっかり口を滑らせて試験のことを話してしまう事態が起こりそうだと思ったからとは言えない。
『もーちょいで着くんじゃね?今猫と合流したな』
年の割に子どもっぽい彼はルビー色の瞳をキラキラと輝かせながら画面を見つめている。大きなモニターには皐が再び黒猫の後について歩く姿が映されていた。
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