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「久しぶりに来たわぁ。このマンション。」
由香里がリビングを見渡した。
「来たことあるんですか?」
「一回だけ。千尋がいてくしゃみ止まらなくてすぐ帰ったんだけどねー」
と、由香里は笑った。
「千尋…」
「尋達のお母さんでしょー」
「尋、やっぱ連れてくれば良かったなぁ。」
「どうして?」
「…別に。」
「…よしっ片付け始めようかっ」
由香里は一度ため息をついて、言った。
それからしばらく片付けをした。元々荷物が少なかったので、すぐ終わり、買い物へと出かけた。
「札駅いこっか。」
「はい。」
地下鉄に乗って、札幌駅についた。
衣服や預けていた教科書類などを受け取り、カフェで休憩をしていた。
「んで、千春ちゃんがね。」
由香里は昔話を春樹に聞かせる。
「瑞樹も千春ちゃん大好きなのに素直じゃなくてさー」
知らない親の顔をこうやって聞くのは、なんだか不思議な気分だ。と、春樹は思いながら、ふと由香里の後ろに立つ人を見た。
「!…紗月…。」
春樹は思わず立ち上がった。
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