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家に帰ってからも数時間は泣きつづけた。 「あーあ、目真っ赤だあ」 いつもより不細工な自分がうつる鏡を見て笑う。 自分の部屋に戻り、ベッドに飛び込むと、ふと水色のものが目に入った。 「こんなの、もう見たくない」 無造作に置かれていたケータイを投げた。 お気に入りだったケータイはガシャガシャと音を立て、傷を一つ、二つと作っていく。 たくさんの傷がついたケータイは、あたしの心みたいだった。 ……早く、早く別れちゃえ。  
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