一章 風峰 鈴

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それから、どのくらいたったのか、鈴は桜の木の下にいた。 服装は着替えた。と言っても、部屋にあった袴を着てきたのだが。 鈴の周りをひらひらと、花弁がまいおちる。 このまま、何処かへ行けたらどれほどうれしい事か。 あぁ、もし何処かへ行けるのなら、あの誠の旗のもとへと行きたいな……。 そんなことをしても、無駄なことは承知済みだ。けれど、今だけは現実から目を背けて居たかった。 風が頬をなで、また花弁が舞い落ちる。 彼女は急に襲ってきた眠気に、瞼を閉じた―――――――――――
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