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「・・・。」
真っ暗な森の中。
突然過ぎて頭が追い付いてない。
待て待て、冷静に何が起こったか考えればいいじゃないか。
私は今しがたあったことを回想し始めた・・・-
下校途中、そう私は学校が終わって帰っている途中だった。
音楽プレイヤーから流れてくる曲を聞きながら、もう見慣れた道を走っていた。
そしたらポケットに入れていた携帯のバイブが鳴った。
誰かのメール?と私は片手で自転車を運転しながら携帯を開いた。
ふらふら
片手だけの運転ではバランスが取れずあっちへこっちへ、私はふらふらしながら走っていた。
携帯が鳴ったと思ったのはどうやら気のせいらしかった。
誰からかのメールでもなければ電話でもない。
不思議に感じていたらふと周りを見渡すと見慣れていたはずの景色に違和感を覚えた。
どこまでも果てしなく続く一本道。
周りには見たことがないたんぼ。
「・・・」
あー、珍しく迷った?と思ったが来た道を見てもやはり見覚えはない。
どちらに進めばいいかもわからない私に誰かが声をかけてきたんだ。
「ちょいちょい、お嬢さん。」
タオルを首にかけた、たんぼの持ち主だろうか、おじいさんがいた。
「道に迷ったようだが、困っているのかね?
わしが案内しよう、だがその代わりにその乗り物をわしに譲ってはくれんかね?」
おじいさんは私が乗っている自転車を指差して言ってきた。
なんだか強欲なおじいさんだが道案内をしてくれると言う。
私は仕方なく、自転車を降りてそれをおじいさんに渡した。
「おぉ、これはこれは。
また面白いもんを作ったのぉ。
おっと約束じゃったな、お嬢さん。
さぁ帰ると良い、そっちじゃ」
私は一礼しておじいさんが指差した方へ歩いた。
すると、
「!?」
道がなくなった。
文字通り、なかったのだ道が。
落ちるわけでもなく、浮かぶわけでもなく、ただただ真っ暗な目の前。
目を瞑っているわけではないはずなのに真っ暗。
しばらく突っ立っていると何となく気持ち悪くなってきた。
うずくまって口を押さえてほんの一瞬目を瞑った。
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