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そこへ禄貴さんが口を挟んだ。
「女の話は長くてたまらん。
それにお琴、こいつは俺が連れてきたとはいえまだ安心できる身柄かどうかは分からないんだぞ。
お前のその優しすぎるのは逆に短所だ、相手をすぐに信じるのは寄せ。
時には命取りになるぞ。」
「あ、はい、禄貴様。
これは大変ご無礼申し上げました・・・。」
私の手をそっと離し、禄貴さんに恐々と頭を下げるお琴さん。
私のせいでお琴さんが怒られるなんて、納得がいかない。
私はむっとして禄貴さんに向かって口を開いた。
「私には禄貴さんがどんなに偉い人か分かりませんが、お琴さんは私に同情してくださいました。
いくら貴方が偉くて、お琴さんが貴方の配下の人間であろうが、今のは納得いきません。
今の貴方はお琴さんの優しさを侮辱したのです。
私を助けていただいたのには感謝しますが、それとはまた別です。
お琴さんに謝ってください。
そしてそれで気に入らなければ私を切るなり焼くなり好きにしてください。」
「雛子様・・・!」
睨み付けるように禄貴さんを見る。
庇うように前へ出たけれど、後ろにいるお琴さんの表情は大体予想できた。
きっと心配してくれたんだろう。
禄貴さんは少し眉間に皺を寄せて私を試すように目を合わせてきた。
「ならばお前は、今ここで初めて会った人間のために死ねるというのか。」
「今ここで初めてあったお琴さんは見ず知らずの私の心を慰めてくださいました、それだけで十分に理由はあるでしょう。」
「お、お止め下さいまし禄貴様、雛子様!」
お琴さんの声は残念ながら今の私達の耳には入らない。
禄貴さんはしばらくそうしていたが私がそこを退かなかったためか目をつぶってため息をついた。
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