空を駆ける女の子をひたすら描写するだけのお話

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 和音は、赤子を撫でるかのように丁寧な手つきで、今自分が座っている場所――日本で一番高い建造物、スカイツリーの頭を撫でた。 「あなたは、私が守ってあげるからね」  そうつぶやいた彼女の名は、親から授かったものでない。  彼女の真名はディオーネ。天空を司る女神の名を継いだ、正真正銘の女神様なのである。  己の名を出井 和音と改めてしまうほど日本という国が大好きな彼女。そんな彼女が、夢にまで見た東京の町並みを眺めながら浮かべた笑顔は、年相応で無邪気なものだった。
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