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「…交通事故…あの子ったら急いでたのか詳しくは知らないんだけど…大型トラックに…それで救急車に運ばれて、病院から電話があって…駆けつけて三十分後に…」
おばさんは泣きながらも説明してくれた。
「…そんな…」
忙しそうに、お通夜・葬式の準備やらをしているのを見てここにいても邪魔になるんじゃないか、そう思い僕は如月家を後にした。
…千鶴が死んだ…?
昨日まで一緒にいたんだ…。どうして…。僕は千鶴に会えないと思うとショックが大きくて、もう走る気力さえなかった。
――翌日。僕は千鶴の葬式があるとのことで出席した。
真っ黒な衣装を身に着けた人がたくさんいた。千鶴の親族、その他の人たち。僕も、制服にしても学ランが白の生地と黒ラインなものなので、黒い服を着てきた。ただの親友の僕は後ろのほうに座っていた。
すると、知らないおばさん達の話が耳に入ってきた。
「まだ若いのに…。千鶴くん、16歳よ」
「交通事故らしいわよ…、可哀相に…」
……。このあとに行われる儀式は、花とお香を一人ずつやることが入ってる。
…無理だ。
出来ない…嫌だ。死んだ千鶴の顔なんて見れないよっ!!
僕は椅子からガタリ立ち上がると、くるり背を向けて式場を出ようとした。
その時、ふと見た奥の扉の前に黒い髪に長髪、長身、見るからに千鶴のような人が腕組みをして立っていた。
……え?ち、千鶴?
目をこらして奥を見る。千鶴だ。濃い青の瞳、黒い長髪、服は日曜日一緒に遊びに行ったときと変わらない服。
「ち、千鶴…?」
僕が千鶴を呼ぶと、千鶴はいつもねようにふわり微笑んでくれた。
「千鶴っ!」
僕は怖いなんて思わなかった。二度と会えないと思ってた人に会えた…だから、嬉しかった。
走って千鶴のもとへ寄ろうとする、けれど近くに来た瞬間、千鶴は手を伸ばし、僕の首をぐっと絞めてきた。
…!?
「うっ……ちづ…」
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