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同時刻
「なんで邪魔したんですか、西条先輩。」
撫那に連れられる様にして、あの場を去った永恋は、倉同じく納得がいかなかったらしい。
責めるように、可愛く口をぷくりと膨らませながら、前を歩く撫那を見つめる。
「でも、さっさと行こうとおっしゃったのは永恋ではなくて?」
「う」
振り向くことなく正論をいった撫那に、反論する言葉が見つからない永恋は、言葉をつまらせながらも「でもぉ~」と反論する。
そんな永恋に、ようやく撫那は振り向き、そして、少しだけ楽しそうな顔で言葉を紡いだ。
「それに永恋ったら、あの掴みかかった生徒に【毒】を盛ったでしょう」
撫那の言葉を聞き、永恋も、まるでイタズラがばれた様な、子供の無邪気な表情をして
「わかっちゃいました?」
と悪びれもなくいった。
そんな永恋を見て苦笑いをする撫那。きっと、今頃彼の、彼女に掴みかかった彼の腕は、アザだらけになってしまっていることを想像しながら。
「だってアイツ生意気だったんですもん。【人間風情】がこのアタシに楯突くなんて・・・」
「でもワタクシ達も今は歴とした【人間】でしょう?」
「それも、そうですけど、でもアタシ達とあいつ等じゃ、持って生まれた魂が違います・・・、先輩だって本当はそう思ってる癖に」
永恋はジトっとした目で、撫那を見つめたが、撫那はその問いに誤魔化す様に微笑んだ後
「ふふ・・・そうね。」
と、シレッとした声で、問いに答えた。
そんな撫那を見て永恋は内心ため息を吐いた。
(だから、この人は危険なんだ)
と心で、自分に言い聞かせながら。
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