1:曖昧な事ばかりが人生じゃない

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永恋だって、他人のことはどうでもいいし、普通の人に比べて、残酷な性格をしているだろう。 でも、この人よりはマシだと思う。 優しい、善意に満ちた顔をして、希望を持たせたふりをして、平気で人を奈落へと堕とす。 ありもしない希望を持たせて。 平気で人を見下している。 他人に憐れみを持たない。 人を生き物だとすら思っていない。 優しい手を差し伸べるふりをしながら。 だからこの人は怖い。 逆らってはいけないと、隣に居れば居る程思い知らされるのだ。 「永恋?」 「ーっ!?」 一人でボーッとしていた永恋を訝しむ様に見つめる撫那。 口に出してしゃべっていた訳ではないが、その紺色の瞳に見つめられていると、心の全てを覗かれそうな気がしてしまった永恋は 「なっなんでもないです!!」 と言って、さっさと会話の話題を切り替える。この人に今更説教をしても意味なんてものはないと思ったからだ。 「それに、あの時本当は【魂】を【抉る】予定だった所を、腕を抉って、毒を盛るだけで勘弁してあげたんですよ?文句を言われる筋合いはありません!」 「【誘いの毒】を盛って?」 「だって丁度いいと思ったんですよ!だって近頃・・・【奴ら】増えたでしょ?それをアイツが一箇所に纏めてくれたらなぁ~って」 「でも、貴方一人じゃ、そんなに狩れないでしょ?」 「なにいってんですか?アタシは今週非番ですよ?今週の担当は西条先輩じゃないですか。だから、先輩が一人で狩って下さい。」 「まぁ酷い、まさか最初からワタクシに厄介事を押し付ける気でしたの?」 「・・・・酷いっていいながらも、あんまり怒ってないですね」
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