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永恋だって、他人のことはどうでもいいし、普通の人に比べて、残酷な性格をしているだろう。
でも、この人よりはマシだと思う。
優しい、善意に満ちた顔をして、希望を持たせたふりをして、平気で人を奈落へと堕とす。
ありもしない希望を持たせて。
平気で人を見下している。
他人に憐れみを持たない。
人を生き物だとすら思っていない。
優しい手を差し伸べるふりをしながら。
だからこの人は怖い。
逆らってはいけないと、隣に居れば居る程思い知らされるのだ。
「永恋?」
「ーっ!?」
一人でボーッとしていた永恋を訝しむ様に見つめる撫那。
口に出してしゃべっていた訳ではないが、その紺色の瞳に見つめられていると、心の全てを覗かれそうな気がしてしまった永恋は
「なっなんでもないです!!」
と言って、さっさと会話の話題を切り替える。この人に今更説教をしても意味なんてものはないと思ったからだ。
「それに、あの時本当は【魂】を【抉る】予定だった所を、腕を抉って、毒を盛るだけで勘弁してあげたんですよ?文句を言われる筋合いはありません!」
「【誘いの毒】を盛って?」
「だって丁度いいと思ったんですよ!だって近頃・・・【奴ら】増えたでしょ?それをアイツが一箇所に纏めてくれたらなぁ~って」
「でも、貴方一人じゃ、そんなに狩れないでしょ?」
「なにいってんですか?アタシは今週非番ですよ?今週の担当は西条先輩じゃないですか。だから、先輩が一人で狩って下さい。」
「まぁ酷い、まさか最初からワタクシに厄介事を押し付ける気でしたの?」
「・・・・酷いっていいながらも、あんまり怒ってないですね」
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