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「そう見えるかしら」
「はい」
「うふふ・・・・。だって今日は、凄く面白い【モノ】を見つけちゃったんですもの。」
「だって・・・今の【ワタクシ達】は、どこからどう見ても、普通の人間である筈なのに、何故【彼】は、あんなに怯えてしまっていたのかしら?永恋・・、貴方はもう一人の人に気を取られていたみたいですけど、ワタクシは初めて見た時から、彼の後ろにいた【彼】のことが気になっていましたの。だって、まるで・・・、猫に追い詰められた鼠みたいな表情でワタクシを見るの。」
クスクス
まるで楽しくて楽しくて、仕方が無いという様な表情で、何処かを見つめる撫那。
その表情に、一瞬気を取られたが、すぐに永恋は唖然とした顔で撫那をみた。
「まさか・・・、」
しかし、永恋の問いにすら、撫那は答えなかった。ただ、独り言の様に彼女は呟くだけで
「もしかしたら・・・、漸く【ワタクシ】の臨む【モノ】が手に入るかもしれない。」
とだけ答えた。
そして、撫那は再び永恋を見つめ
「だから・・・永恋、今回ワタクシに仕事を押し付けたことに関しては、許してあげますわ。対価は既に頂いた様なものですし」
にこりと笑った。
「さぁ、早く行かなければ役員会議が終わってしまいますわ」
神は生贄を見つけてしまった。
生贄は神から逃げたかった。
だけど、生贄は神から逃げることは叶わない。
何故なら生贄は愚か者だったからだ。
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