1:曖昧な事ばかりが人生じゃない

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※ 2限が始まり、既に生徒たちがそれぞれの決められた授業を受けている中、裕志は不良仲間二人と裏庭でタバコを吸っていた。 しかし、どうやら、何時の間にかボーっとしていた様だ。 「ユウシなにボーっとしてんだよ」 「あ?」 【ユウシ】というニックネームで呼ばれ、無意識に返事をしてしまった。 しかし、別に、本名の裕志(ユウジ)ではなく【ユウシ】とあだ名で呼ばれるのは、なにも珍しいことではない。 実の妹ですら俺のことをユウシと呼んでいるくらいだ。 だから、今の裕志の「あ?」という返答は、別に怒っているわけではなく、ただ単にボーッとしたまま返事をしただけのことだった。深い意味はない。 「なんだよ司(ツカサ)タバコならやんねーぞ」 「違ぇよ。寧ろお前んがそろそろタバコいるんじゃないか?タバコ、灰になってんぞ」 「は?」 司の言葉につられ、裕志が自分の手で握っている煙草を見れば、本当に火が指先ににたどり着こうとする程灰になっていた。 「うわっ!?早く言えよ!」 裕志は、慌てて煙草を手から離し、靴で踏み潰す。 そんな裕志に、別の不良仲間の倉(クラ)が肩を竦め溜息を吐く。 「てめぇがボーっとしてたんだろうが、司に当たんなボケ」 「まぁ確かにそうだけどな・・・だからってな」 もう少し早く言ってくれれば・・・と そう言葉を続けようとした裕志を遮るようにまた倉が言葉を発する。 「お前、ボーッとしとったんは俺等の話聞いとらん証拠だろうが。自業自得だボケ」 「話・・・?」 「あ"ー?てめぇユウシマジでブッ殺すぞ?」 倉が喧嘩腰になって握りこぶしを構えてきたのを慌てて、司の横に隠れて身を守る。 そして、謝罪。 「マジ悪かったって!で、話ってなんだったんだよ」 リアルにキレ気味な、倉に話を聞こうとするのは流石に怖かった裕志は、隠れ蓑にしていた司に、コトの内容をきいた。すると、司は真剣な顔をしてこう質問をしてきた。 【お前は、今期新しく就任した生徒会には会ったか?】 ・・・・・と。
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