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「そんなことがあったなんて…」 自分の耳を疑った。僕達が崖から落ちて、助かるのが僕と鈴だけだなんて、信じたくもなかった。そしてこの世界が偽りの世界であるということも、信じたくなかった。今まで僕と葉留佳さんが築いてきた時間は、全てが消えてしまうなんて、そんなの嫌だ。僕は葉留佳さんの笑顔が好きだ。葉留佳さんの匂いが好きだ。葉留佳さんの声が好きだ。葉留佳さんの全てが好きだ。間近で葉留佳さんを感じて、葉留佳さんとうち解け合って、1つになって…、今間であったことが無かったことになるなんて、絶対に嫌だ 「なんて理不尽なんだ…」 …何弱音をはいているんだ、僕は。葉留佳さんは理不尽な人生から頑張ってここまできたんじゃないか。なのに僕はこんなことで弱音をあげるのか?思い出せ、この世界はなんの為にある…葉留佳さんは言った、僕と鈴を強くするためと。鈴は強くなった。それはいつもそばにいた僕達ならみんな分かる。なら僕はどうだ。肉体的には強くなったかもしれない。けど心が弱い。こんなことにでさえ挫けそうになっているんだ、当たり前か。ならどうする、どうやって心を強くする…決意、これは心の支えであって強さじゃない。なら思いか、強く思えば心は強くなるのか?分からない、今まで強くなかった僕には分からない 「けど…やるしかないよね」 思え、強く思え。僕の大好きな葉留佳さんを。あの笑顔を、あの匂いを、あの声を、あの仕草を、葉留佳さんの全てを心に抱けば僕は幸せになれる。ならやっぱりなかったことには出来ない。行動するしかない。行こう、行き先が絶望でも必ず2人で切り開くんだ 「葉留佳さんっ」 そりて僕は教室の戸を開けた
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