1人が本棚に入れています
本棚に追加
暗雲の広がる街の外
暗闇で向こうの見えない森
気味悪い鳥の鳴き声
荒々しい風に揺れる木々
生き物であったであろう
屍が転がる死臭漂う道
そこを抜ければ
怪しい古びた城
そこから聞こえるは
今までの光景が
嘘のように美しく
透き通った綺麗な歌声
声の主を探し城に近づく
城の下に行き
見上げると...
ベランダから顔を覗かせ
月の光のように柔らかく優しく
微笑む 綺麗な綺麗なお姫様
真っ黒いドレス
真っ黒いヒール
綺麗な金色の髪
有無を言わせない艶やかな唇
男を魅了するような紅い瞳
言葉を失う美しさ
その姫に言われるまま
城に入る若い男は
その歌声と美貌の虜
嗚呼...
その女の恐ろしさも知らず
男は城の広場で黒姫の歌を聞く
やがて何処からか聞こえる 狂ったようなバイオリン
哀しく切ないピアノ
男は音に合わせて踊る
狂ったように踊る
我を忘れて踊る
死ぬまで踊る
『嗚呼...
またお人形さんが増えたわ』
と女は言う。
『フフッ……アハッ……
アハハッ アハハハハハハ
ハ』
今日も森に歌声が聞こえる
最初のコメントを投稿しよう!