急転直下

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「言ってないからな」と茶化すオレ。 「水臭いよ!」と食い下がる亮。 亮が身を乗り出した瞬間にぐらつき、こぼれそうになったグラスを支え、「何が?」と訊く。 すると、「相談に乗るのに……」と冷静を取り戻しつつあるのか、身を徐々に引っ込める親友。 「おいおい、自分の恋愛がヤバいのに、オレのを手伝ってる暇あるのか?」 「ぐ……」 「ありがたいんだけどね、そういうのは自分の周囲を整理して、手持無沙汰な時にでも言ってくれ」 「なら、傾も自分の恋愛を優先すれば……」 「オレはね、亮の相談に乗った方が先なの。だからきっちりこの件を片づけた上で、そっちに集中するよ」 「ぅ、む……」 返す言葉も無いようで、黙り込んだ亮はコーヒーに口を付ける。 「とにかく、鈴の方に話を戻すぞ」 亮に続いてコーヒーを口に含め、話を戻す。 「っていうかさ、好きな人がいたらあっさり諦めきれるの?」 「ぇ……」 「さっきまでの口ぶりからするとさ、まるで、鈴に片恋相手がいたら大人しく身を引くような感じがするんだよ」 「……」 「どうなんだ?」 「…………諦め、きれないよ」 ポツリ、と。 確かに亮は言った。 気持ちを捨てる気はないと、暗示した。 「だったら、もう告白するしかないだろ」 これで亮が鈴に告白すれば、晴れて二人はカップルだ。 オレも前に進めてハッピーエンドだな。 そう思っていた。 しかし、世界はそう易々と思い通りにはなってくれないらしい。「でもね」 「ん?」 「最近、鈴ちゃんに避けられてるのも、あるんだ……。そっちは、どうしたらいいかな……」 おぅ、マジかよ……。 神妙な面持ちの親友を見ながら、重い息を吐く。 そういや、最近鈴が野球部の活動を見にいっているのを視認した記憶がない。 まさかとは思っていたが、鈴め……亮を避けてるな。 あいつの方にも一喝いれないと。 「もしかして、俺の好きな人ばれたのかな……」 「や、それはないな」 「なんで?」不安そうな表情でこちらを窺う親友は、既に涙目だった。 泣くなよ……。 「そういうことがあったら、相談してるよ。あいつは」 「そう、なの?」 「ああ。あいつが初めて告白された時なんか、夜中に部屋に侵入されたからな」
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